下北沢・一龍へ行こう/大遭遇/小池栄子さん
その土曜日、ぼんやりと17:00まで寝ていた俺は、携帯に一龍からの「着信あり」に気が付いて折り返しマスターに電話を入れました。
マスター:「おい池ポン、寝てたのか?二日酔いか?まあいい。今晩閉店後ある人がやってくるので池ポンもおいでよ。な。」
と、ちょっといつものマスターよりは力が入ったような感じで話しました。
俺は、”あ!いよいよ来るべき日が来たのだ!”と直感的に感じました。
別の予定があるにはあったんですけど、
「行きます!!」
とマスターに若干逆上しながら告げました。

思えば数年前、ママから、
「一龍に来るお客さんでアイドルがデビューしたわよ!綺麗だし伸びる娘よ。きっと。」
と聞かされておりました。
「そんじゃその娘が有名になったら一龍の宣伝をしてもらわないとねーっけっけっけー」
などと言う切り返しを俺はしたと思います。

もちろんその時点でその娘が誰だかは知りませんでした。

時は過ぎ2年程前
俺:「このHPのゲストに来てくれないかなぁ!。」
マスター:「うん、今度来たら言っておくよ。多分OKしてくれるんじゃないかな。」
なんてスローテンポにもほどがある悠長な会話していたのもつかの間、あれよあれよとその娘は超ご多忙なタレントさんになちゃったわけです。
もうこんな弱小サイトのゲスト出演などは不可能なところへビュンと行ってしまいました。

俺は、全国区の味ではないけれど、けなげに営業している一龍の味を理解する同志として、是非とも小池栄子さんに会って話がしてみたい!と常々思うようになっていました。
恐らく小池さんも約20年近く一龍を見てきているのでしょう。その点では俺も負けていません。
しかし今となっては、お会いするのは到底無理、生きていればいつかは会える?なんてヨワヨワモードになっていた矢先に運命のその土曜日、マスターからのお誘いがあった訳です!

CREA eats文藝春秋が発行しているCREA eatsは、有名人が推薦する美味しいものを紹介している雑誌です。
2004年2月7日発行号はラーメン特集で、その中で小池栄子さんが唯一「推薦人ご本人が食べている写真つきコーナー」みたいな感じで抜擢され、小池さんは一龍をしっかりと推薦してくれたわけです。そしてその取材が、その土曜日だったわけです。

運命の時間、店内で待機している俺や一龍陣営。みんな妙にボルテージが上がっていってるのが分かりました。特にアルバイトのトモちゃんは小池さんのファンらしく脳みそが完全にレッドゾーンに入ってる感じでした。
そんな中で俺は逆に口数が少なくなっていきました。緊張してきたのです。なんだか顔の筋肉が硬い感じに・・・こんな経験はあまりありません。

とたんに店内に閃光が走りました。小池栄子さんの登場です。
瞬間、小池さんを0.01秒見た俺はヘロヘローといった感じになりました。
それを言葉に表すと、
”ああ、あああああー、ああなるほど、これなら分かる。なぜこの方が芸能界にいらっしゃるのか良く分かる。もう後光がさしてる!まぶしい!全然違う。そのへんにいる連中とは全然違う!背は高く、思ったより細く、スラッと足は長く、お顔は小さく、眼はパッチリと澄んでいて・・・
おいおいテレビとはいったい何か?!ちゃんと事実を映してくれよーと言いたくなるほどご本人を生で見るとスゴーイ。もう強烈な存在感!ヤラレター!”

とまぁこんな感じです。

小池さんは、「おばさん、どうもー久しぶりー!」
と、明るくいらっしゃいました。
その時、文藝春秋の西川さんが、「こちらがHPを製作している池田さんです。」
と、いきなり俺を紹介してくれちゃったりしちゃったわけであります。
うわっ!っと思いました。
現在思考能力ゼロ状態。あ、挨拶、挨拶をするのだ俺。狼狽している場合ではない。
ガッチガチになりながらもとにかく名刺を渡し、挨拶だけは済ませました。
それから小池さんの着席する位置をカメラマンさんが確認して、俺達もおのおの着席しました。
俺はなんと小池さんの隣に座ることが許されました。ウッレッシー。
中華が出来上がるまでママやマスターと小池さんは楽しくお話しておりました。
小池さんは決して高ぶることなく、威張ることなく、ストレート勝負で言葉を発していました。
いよいよ中華そばが小池さんの前へ。焚かれるフラッシュの中、小池さんはレンゲで一口スープから飲みました。
「おいしーーー!」という声が店内に広がりました。
そのおいしいという言葉は良く分かります。
ご多忙となった現在ではなかなか一龍に来ることは出来ないのでしょう。
久々に舌によみがえったあの慣れいそしんだ味。
それが「おいしーーー!」なのでしょう。
小池さんも俺達と同じ、一龍に代わるラーメン店をなかなか見つけられないでいるのではないでしょうか?
つまり、同じ穴のラーメンジプシーなのではないでしょうか。
うんうん。

少し時間がたって「俺も話かけちゃおうかなぁー。」なんて不純なことを思いました。
いや、小池さんは今お仕事中なのだ。余計なことは・・・・・
「ここのHPには一龍の味の謎なんかも書かれているんですよォー」
あ、声をかけてしまった。しかもスットンキョウな音声で!
「あそうなんですか。へ〜」
涙!小池さん、ささいな言葉に答えてくださってありがとう。もう満足です。

小池さんと記念撮影

小池さんはバッチシ完食し、好物の壷漬けを食べ、お仕事を無事に終え、去って行かれました。
最後には、みんなと記念撮影していただきありがとうございました。

一人の芸能人を見たというよりもなんだかお釈迦様を生で見たような気分になりました。
お会いできて光栄でした。
そして、夢みたいな時間はすぐに終わりました。